どぜう屋助七のあらすじと読んだ感想!江戸の人々の強さと優しさ


「どぜう屋 助七」を読んだ感想、江戸の人々の強さと優しさ

江戸は浅草・駒形にある“どぜう屋”の主人元七(三代目越後屋助七)は剣術と遊びにかまけて仕事はほったらかしの日々。しかし、黒船来航、大地震、ご一新へと、店も人も激動の世になると、江戸っ子の意地と持ち前の明るさで店を盛り立てようと奮起するー実在の老輔“駒形どぜう”を舞台にした、笑いと涙のグルメ時代小説。読めば必ず食べたくなる!

 

「どぜう屋助七」河治和音(カワジワカ著)
東京都葛飾区柴又生まれ。日本大学芸術学部卒業。2003年『秋の金魚』で第2回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー

出典「BOOK」データベースより

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明治維新直前の江戸の味

 

黒船が日本にやって来た頃、江戸は浅草に「どぜう屋」とだけ看板を出した食べ物屋ありました。現在も同じ場所で続く「駒形どぜう」です。

 

駒形どぜうとは・・1801年創業、江戸・東京・浅草に200年続くどじょう料理店。浅草名物「どぜうなべ」を江戸建築でお召し上がり下さい。

引用 駒形どぜう 本店より

 

そこの三代目の若旦那が主人公の小説です。この若旦那は三代目の例にもれず、遊びにかまけていました。さらに剣術にも精を出していました。

 

そんなどぜう屋に女中として一人の少女が入ってきます。その少女は江戸の近郊(今の大田区荏原)の出身でしたのでお店の場所を聞くのにも戸惑います。

 

べらんめえの人たちの言葉は悪いが気の良いのにも驚きながら、どぜう屋へとたどり着きます。

 

そこではまた女中頭の大声ときりきりと働く姿に驚き、二代目の主がどぜうをより分けている姿にも驚きながら成長していきます。

 

そんな、少女から見た三代目やお店の様子がとても生き生きと描かれ、世の中は黒船に右往左往しているにも拘わらず、庶民はみんな一生懸命生きていたということが良く解る小説です。

 

また、江戸の様々な風物、意外な言葉の読み方なども目から鱗の思いでした。

 

艱難辛苦を乗り越えて

 

のんびり過ごしていた三代目が大阪まで行き、やがて江戸へ帰ってくると安政の大地震が襲います。

 

どぜう屋も被害を受けますが、二代目の元妻の知り合いから場所を借りて炊き出しのような店を始めます。

 

それが、食べ物のなかった江戸の町衆に大うけします。やがて駒形へ戻ることもでき、さらにメニューも増え今のお店に近づいていくのです。

 

そんな中で少女だった女中は店の手代と結婚し、番頭は地震の時に助けた女性と結婚します。また三代目の妹は、ずっと好意を示していたにも拘わらず無視し続けていた火消しと一緒になります。

 

しかし、火消しと一緒になるのは、彼が大地震で大やけどを負った後ですぐ亡くなってしまうという悲劇もありました。更に追い打ちをかけるようにころり(コレラ)が流行ります。

 

これにも、どぜう屋は奮闘します。刻々と変わる時代の中で、それでも一生懸命生き続ける庶民の強さと優しさが滲み出ているような作品です。

 

明治と変わり、江戸も東京へ

 

やがて、大政奉還も済み江戸城明け渡しも終わります。しかし、江戸には彰義隊という組織がありました。

 

駒形どぜうの知り合いにも、彰義隊の隊士がおり当然のこととして討たれてしまいます。そんな中でもお店は繁盛し、知り合いたちも元気になっていきます。

 

江戸の人たちは現代の我々より遙かに強いと思いました。いや、悪いことを吹き飛ばす力を持っていたのでしょう。

 

また一から始めたら良いという開き直りかも知れません。これが、明治以降の東京の発展を招いたのでしょう。

 

この小説を読んでいると、当時の様子がとても良くわかります。そして、人々の心も少しですが解るような気がします。優しさと強さ、人間に取ってとても大切な物に改めて気づかされた思いです。

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